Web制作の工数はどう見積もる?
作業時間を算出する基本的な考え方
「この案件はいくらで見積もればいいだろう?」——Web制作の見積もりを考えるとき、デザイン費やコーディング費だけを考えると、実際に必要な作業時間との間にズレが生まれることがあります。ヒアリング・要件整理・ディレクション・確認・修正・テスト・公開など、Web制作には多くの工程が存在します。そこで重要になるのが、「工数を見積もる」という考え方です。
INDEX(目次)
Web制作における「工数」とは?
工数とは、ある作業を完了するために必要な「人の作業時間」のことです。単位は主に以下の3つが使われます。
Web制作では「このLP制作は5人日」「コーディングに20時間」のように、案件や作業の規模を工数で表すことがあります。工数を把握することで、見積金額や納期の根拠を作れるようになります。
Web制作の工数見積もりが難しい理由
Web制作の工数見積もりが難しいのは、「制作画面を触っている時間だけが工数ではない」からです。
実際の制作プロジェクトでは、以下のような作業すべてに時間が発生します。
実際の制作プロジェクトでは、以下のような作業すべてに時間が発生します。
- クライアントとのヒアリング・打ち合わせ
- 要件整理・仕様確認
- ディレクション・進行管理
- デザイン・ワイヤーフレーム作成
- コーディング・実装
- クライアントへの確認・フィードバック対応
- 修正作業
- テスト・動作確認
- 公開作業・DNS設定・サーバー設定
多くの制作者が「デザインとコーディングだけ」を工数として考えがちですが、実際にはこれらすべての時間が案件に使われています。これらを見落としたまま見積もると、実際の作業時間との間に大きなズレが生まれます。
Web制作の工数を見積もる5ステップ
工数を見積もる際は、以下の手順で考えると整理しやすくなります。
1. 作業範囲を決める
まず「この案件で何をするのか・何をしないのか」を明確にします。ページ数、デザインの範囲、CMS組み込みの有無、コンテンツ(テキスト・画像)の制作範囲など、スコープを定義することが工数見積もりの出発点です。
作業範囲が曖昧なまま工数を算出しようとすると、後から「これもやることになった」という事態が発生しやすくなります。
作業範囲が曖昧なまま工数を算出しようとすると、後から「これもやることになった」という事態が発生しやすくなります。
2. 作業を細分化する
「デザイン」「コーディング」という大きなくくりではなく、作業をできるだけ細分化します。
例:「デザイン」→「トップページデザイン」「下層ページデザイン」「スマートフォン版調整」「バナー制作」のように分けることで、それぞれの時間を見積もりやすくなります。
例:「デザイン」→「トップページデザイン」「下層ページデザイン」「スマートフォン版調整」「バナー制作」のように分けることで、それぞれの時間を見積もりやすくなります。
3. 各作業の時間を見積もる
細分化した作業ひとつひとつに対して、必要な時間を見積もります。以下は説明用の架空例です。これはWeb制作の標準工数や相場ではなく、計算方法を説明するための例示です。
4. 修正・確認などの時間を考慮する
制作物そのものを作る時間だけでなく、クライアントからのフィードバック待ち・確認対応・修正作業にも時間が発生します。修正を「込み」として工数に見込んでおくか、「修正〇回まで含む」とスコープを定義しておくかを検討します。
5. 合計工数を算出する
各作業の時間を合計して、案件全体の総工数を出します。この合計工数が、見積金額を算出する際の土台になります。
ESTIMATION FLOW
作業を洗い出す
時間を見積もる
見積金額を計算
実績と比較
次の見積もりへ
↑ このサイクルを繰り返す
工数見積もりは一度作って終わりではなく、実績との比較を繰り返すことで精度が上がります。
「時間」と「人日」で工数を考える方法
工数を「時間」で管理するのが基本ですが、案件の規模感を伝える際には「人日」を使うこともあります。
一般的な説明例として、「1人日=8時間」として換算されることがあります。
一般的な説明例として、「1人日=8時間」として換算されることがあります。
計算例(架空の数字)
合計工数:40時間
1人日の定義(この例):8時間
40時間 ÷ 8時間 = 5人日
1人日の定義(この例):8時間
40時間 ÷ 8時間 = 5人日
ただし、「1人日=8時間」は絶対的な定義ではありません。実際には企業・契約・運用方針によって「1人日=7時間」「6時間」と定義しているケースもあります。人日を使う際は、事前に定義を確認・共有しておくことが重要です。
工数から見積金額を考える方法
工数が算出できたら、時間単価を掛け合わせることで見積金額の目安を計算できます。以下はあくまで計算方法を説明するための架空の例です。この数字はWeb制作市場の相場を示すものではありません。
計算例(架空の数字)
想定工数:40時間
時間単価(例):5,000円
40時間 × 5,000円 = 200,000円
時間単価(例):5,000円
40時間 × 5,000円 = 200,000円
時間単価は、自分のスキルレベル・案件の難易度・市場の状況・経費・利益率などを踏まえて、各自で設定するものです。「一般的な時間単価はいくら」という正解はなく、自分のビジネスの収支を見ながら判断する必要があります。
工数 × 時間単価という考え方を持つことで、「なぜこの金額なのか」を自分で説明できる見積もりを作れるようになります。
工数 × 時間単価という考え方を持つことで、「なぜこの金額なのか」を自分で説明できる見積もりを作れるようになります。
Web制作の見積もりから漏れやすい「見えない工数」
デザインやコーディングと比べて、見積もりに含め忘れやすい作業があります。これらは実際には相当な時間を要することがあります。
これらの見えない工数を見積もりに含める方法については、Web制作の見積書に必要な項目は?忘れやすい5項目と作り方を解説でくわしく解説しています。見積書に何を記載すべきかとあわせて参照してください。
見積工数と実績工数を比較する
案件が完了したら、見積もり時に想定した工数(見積工数)と実際にかかった工数(実績工数)を比較します。
重要なのは「15時間オーバーした」で終わらせないことです。どの作業で差が発生したのかを確認することで、次回の工数見積もりを考える材料になります。
例えば「修正対応が想定の3倍かかった」とわかれば、次回は修正工数を多めに見込む・修正回数のスコープを明確にするなど、具体的な改善を検討できます。
例えば「修正対応が想定の3倍かかった」とわかれば、次回は修正工数を多めに見込む・修正回数のスコープを明確にするなど、具体的な改善を検討できます。
実績工数を次の見積もりに活かす
工数の記録が積み上がると、次の見積もりの根拠として活用できるようになります。「前回の同規模のサイトは結局55時間かかった」という事実があれば、次回の見積もりに反映できます。
IMPROVEMENT CYCLE
見積
制作
工数記録
見積との差を確認
次回の見積もりへ
このサイクルを回すためには、案件ごとに工数を記録する習慣が必要です。工数を記録し、見積との差を管理する方法については、Web制作の工数管理とは?見積工数・実績工数の管理方法を解説もあわせてご覧ください。
工数見積もりを感覚だけにしないために
制作経験が増えてくると、「このくらいだろう」という感覚で工数を見積もることが多くなります。経験から生まれる感覚は重要な判断材料ですが、感覚だけに頼ると精度にばらつきが出やすくなります。
過去案件の見積工数・実績工数・その差を記録しておくことで、次回の工数見積もりを考えるための具体的な材料を持てます。「なんとなく」ではなく「前回このくらいかかったから」という根拠を持てると、見積もりの説明責任も果たしやすくなります。
完璧な記録は必要ありません。大まかな作業区分と時間だけでも、積み上げることで判断材料になります。
過去案件の見積工数・実績工数・その差を記録しておくことで、次回の工数見積もりを考えるための具体的な材料を持てます。「なんとなく」ではなく「前回このくらいかかったから」という根拠を持てると、見積もりの説明責任も果たしやすくなります。
完璧な記録は必要ありません。大まかな作業区分と時間だけでも、積み上げることで判断材料になります。
SALUTOで案件・見積・工数をつなげて管理
SALUTOでは、案件・見積・工数を分断せずに管理できます。
案件 → 見積 → 工数 → 収支という流れが分断されないことで、「あの案件の見積工数はどこに記録したか」「実際いくらかかったのか」を探し回る手間を減らせます。
まとめ
Web制作の工数見積もりのポイントを整理します。
- 工数とは「人の作業時間」のこと。時間・人時・人日の単位で表す
- 「1人日=8時間」は説明例。実際の定義は契約・運用によって異なる
- 制作作業だけでなく、打ち合わせ・確認・修正・公開作業も工数として見積もる
- 作業を細分化 → 各作業の時間を見積もる → 合計する、という手順で進める
- 工数 × 時間単価で見積金額の目安を計算できる(数字はあくまで自社で設定する)
- 見積工数と実績工数を比較し、差が生じた作業を確認することで次回に活かせる
- 過去の記録を積み上げることで、感覚だけではない工数見積もりの根拠を持てる
工数を見積もる習慣は、「何にどれだけ時間を使っているか」を把握する第一歩です。精度の高い見積もりは一度で完成するものではなく、記録と比較のサイクルを繰り返すことで改善していきます。
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