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Web制作の工数はどう見積もる?作業時間を算出する基本的な考え方
業務効率化

Web制作の工数はどう見積もる?
作業時間を算出する基本的な考え方

「この案件はいくらで見積もればいいだろう?」——Web制作の見積もりを考えるとき、デザイン費やコーディング費だけを考えると、実際に必要な作業時間との間にズレが生まれることがあります。ヒアリング・要件整理・ディレクション・確認・修正・テスト・公開など、Web制作には多くの工程が存在します。そこで重要になるのが、「工数を見積もる」という考え方です。

Web制作における「工数」とは?

工数とは、ある作業を完了するために必要な「人の作業時間」のことです。単位は主に以下の3つが使われます。
時間
最も基本的な単位。「このデザインに4時間かかる」のように、実際の作業時間で表します。
人時(にんじ)
1人が1時間かけて行う作業量。「人×時間」で工数を表す単位です。2人で1時間かかる作業は2人時。
人日(にんにち)
1人が1日かけて行う作業量。一般的な説明例として「1人日=8時間」と表現することがありますが、実際の定義は企業・契約・運用によって異なります。「1人日=必ず8時間」と固定されているわけではありません。
Web制作では「このLP制作は5人日」「コーディングに20時間」のように、案件や作業の規模を工数で表すことがあります。工数を把握することで、見積金額や納期の根拠を作れるようになります。

Web制作の工数見積もりが難しい理由

Web制作の工数見積もりが難しいのは、「制作画面を触っている時間だけが工数ではない」からです。

実際の制作プロジェクトでは、以下のような作業すべてに時間が発生します。
  • クライアントとのヒアリング・打ち合わせ
  • 要件整理・仕様確認
  • ディレクション・進行管理
  • デザイン・ワイヤーフレーム作成
  • コーディング・実装
  • クライアントへの確認・フィードバック対応
  • 修正作業
  • テスト・動作確認
  • 公開作業・DNS設定・サーバー設定
多くの制作者が「デザインとコーディングだけ」を工数として考えがちですが、実際にはこれらすべての時間が案件に使われています。これらを見落としたまま見積もると、実際の作業時間との間に大きなズレが生まれます。

Web制作の工数を見積もる5ステップ

工数を見積もる際は、以下の手順で考えると整理しやすくなります。

1. 作業範囲を決める

まず「この案件で何をするのか・何をしないのか」を明確にします。ページ数、デザインの範囲、CMS組み込みの有無、コンテンツ(テキスト・画像)の制作範囲など、スコープを定義することが工数見積もりの出発点です。

作業範囲が曖昧なまま工数を算出しようとすると、後から「これもやることになった」という事態が発生しやすくなります。

2. 作業を細分化する

「デザイン」「コーディング」という大きなくくりではなく、作業をできるだけ細分化します。

例:「デザイン」→「トップページデザイン」「下層ページデザイン」「スマートフォン版調整」「バナー制作」のように分けることで、それぞれの時間を見積もりやすくなります。

3. 各作業の時間を見積もる

細分化した作業ひとつひとつに対して、必要な時間を見積もります。以下は説明用の架空例です。これはWeb制作の標準工数や相場ではなく、計算方法を説明するための例示です。
作業項目(例) 想定時間
ヒアリング・要件整理 4時間
ワイヤーフレーム・設計 6時間
デザイン 16時間
コーディング 24時間
テスト・動作確認 8時間
公開作業 4時間
合計(例) 62時間

4. 修正・確認などの時間を考慮する

制作物そのものを作る時間だけでなく、クライアントからのフィードバック待ち・確認対応・修正作業にも時間が発生します。修正を「込み」として工数に見込んでおくか、「修正〇回まで含む」とスコープを定義しておくかを検討します。

5. 合計工数を算出する

各作業の時間を合計して、案件全体の総工数を出します。この合計工数が、見積金額を算出する際の土台になります。
ESTIMATION FLOW
作業を洗い出す
時間を見積もる
見積金額を計算
実績と比較
次の見積もりへ
↑ このサイクルを繰り返す

工数見積もりは一度作って終わりではなく、実績との比較を繰り返すことで精度が上がります。

「時間」と「人日」で工数を考える方法

工数を「時間」で管理するのが基本ですが、案件の規模感を伝える際には「人日」を使うこともあります。

一般的な説明例として、「1人日=8時間」として換算されることがあります。
計算例(架空の数字)
合計工数:40時間
1人日の定義(この例):8時間
40時間 ÷ 8時間 = 5人日
ただし、「1人日=8時間」は絶対的な定義ではありません。実際には企業・契約・運用方針によって「1人日=7時間」「6時間」と定義しているケースもあります。人日を使う際は、事前に定義を確認・共有しておくことが重要です。

工数から見積金額を考える方法

工数が算出できたら、時間単価を掛け合わせることで見積金額の目安を計算できます。以下はあくまで計算方法を説明するための架空の例です。この数字はWeb制作市場の相場を示すものではありません。
計算例(架空の数字)
想定工数:40時間
時間単価(例):5,000円
40時間 × 5,000円 = 200,000円
時間単価は、自分のスキルレベル・案件の難易度・市場の状況・経費・利益率などを踏まえて、各自で設定するものです。「一般的な時間単価はいくら」という正解はなく、自分のビジネスの収支を見ながら判断する必要があります。

工数 × 時間単価という考え方を持つことで、「なぜこの金額なのか」を自分で説明できる見積もりを作れるようになります。

Web制作の見積もりから漏れやすい「見えない工数」

デザインやコーディングと比べて、見積もりに含め忘れやすい作業があります。これらは実際には相当な時間を要することがあります。
メール・チャット
やり取りが長引くほど、1案件あたりの通信時間は積み上がります。
打ち合わせ
事前準備・移動(オンラインでも接続確認など)・議事録作成を含めると1回あたりの実工数は増えます。
進行管理
スケジュール管理・タスクの整理・外部業者との調整など、制作物を作る以外の段取り作業。
修正対応
修正の回数・内容は受注時点では読めません。修正を「込み」とする場合でも、工数として見込んでおくことが重要です。
確認作業
クライアントへの確認依頼・回答待ち・差し戻し対応は積み重なると大きな時間になります。
公開作業
サーバーへのデプロイ・DNS設定・表示確認・フォームテストなど、公開前後の作業一式。
これらの見えない工数を見積もりに含める方法については、Web制作の見積書に必要な項目は?忘れやすい5項目と作り方を解説でくわしく解説しています。見積書に何を記載すべきかとあわせて参照してください。

見積工数と実績工数を比較する

案件が完了したら、見積もり時に想定した工数(見積工数)と実際にかかった工数(実績工数)を比較します。
区分 工数
見積工数(受注前の想定) 40時間
実績工数(実際にかかった時間) 55時間
差(オーバー分) +15時間
重要なのは「15時間オーバーした」で終わらせないことです。どの作業で差が発生したのかを確認することで、次回の工数見積もりを考える材料になります。

例えば「修正対応が想定の3倍かかった」とわかれば、次回は修正工数を多めに見込む・修正回数のスコープを明確にするなど、具体的な改善を検討できます。

実績工数を次の見積もりに活かす

工数の記録が積み上がると、次の見積もりの根拠として活用できるようになります。「前回の同規模のサイトは結局55時間かかった」という事実があれば、次回の見積もりに反映できます。
IMPROVEMENT CYCLE
見積
制作
工数記録
見積との差を確認
次回の見積もりへ
このサイクルを回すためには、案件ごとに工数を記録する習慣が必要です。工数を記録し、見積との差を管理する方法については、Web制作の工数管理とは?見積工数・実績工数の管理方法を解説もあわせてご覧ください。

工数見積もりを感覚だけにしないために

制作経験が増えてくると、「このくらいだろう」という感覚で工数を見積もることが多くなります。経験から生まれる感覚は重要な判断材料ですが、感覚だけに頼ると精度にばらつきが出やすくなります。

過去案件の見積工数・実績工数・その差を記録しておくことで、次回の工数見積もりを考えるための具体的な材料を持てます。「なんとなく」ではなく「前回このくらいかかったから」という根拠を持てると、見積もりの説明責任も果たしやすくなります。

完璧な記録は必要ありません。大まかな作業区分と時間だけでも、積み上げることで判断材料になります。

SALUTOで案件・見積・工数をつなげて管理

SALUTOでは、案件・見積・工数を分断せずに管理できます。
案件管理
顧客・案件ごとに情報を集約。見積書・工数・収支が案件に紐づいて管理されます。
見積書作成
顧客情報から宛名を引用して見積書を発行。作業項目・金額・税区分を整理して記録できます。
工数トラッカー
案件・タスクに紐づけて実績工数を記録。日々の作業時間を積み上げて集計できます。
収支シミュレーション
案件別に売上・工数・時間あたり対価を確認。採算性を考えるための参考情報として活用できます。
案件 → 見積 → 工数 → 収支という流れが分断されないことで、「あの案件の見積工数はどこに記録したか」「実際いくらかかったのか」を探し回る手間を減らせます。

まとめ

Web制作の工数見積もりのポイントを整理します。
  • 工数とは「人の作業時間」のこと。時間・人時・人日の単位で表す
  • 「1人日=8時間」は説明例。実際の定義は契約・運用によって異なる
  • 制作作業だけでなく、打ち合わせ・確認・修正・公開作業も工数として見積もる
  • 作業を細分化 → 各作業の時間を見積もる → 合計する、という手順で進める
  • 工数 × 時間単価で見積金額の目安を計算できる(数字はあくまで自社で設定する)
  • 見積工数と実績工数を比較し、差が生じた作業を確認することで次回に活かせる
  • 過去の記録を積み上げることで、感覚だけではない工数見積もりの根拠を持てる
工数を見積もる習慣は、「何にどれだけ時間を使っているか」を把握する第一歩です。精度の高い見積もりは一度で完成するものではなく、記録と比較のサイクルを繰り返すことで改善していきます。

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